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『宮部みゆき』の棚


☆小学館刊『模倣犯(上・下)』絶賛発売中!☆
☆『心とろかすような』創元推理文庫で発売中!☆



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◆宮部みゆきさんとは…

【宮部 みゆき(みやべ みゆき)】
1960年(昭和35年)東京生まれ。
87年、オール讀物推理小説新人賞の受賞以来、次々にベストセラーを発表し、 数々の文学賞を総なめに。
時代物、ミステリの両ジャンルに於いても、当代随一の人気作家。
『ミステリ界の王女さま』
なお、大極宮(大沢オフィス公式ページ※1)によると
カラオケとテレビゲームがお好きで、1年のうち360日はコントローラーを握っていらっしゃるらしい。
特技は「安物買いの銭失わず」だとか。

【個人的好きずき】
宮部さんの人為りがよく顕れてるのは、エッセイでもある『平成お徒歩日記』ではないかと思います。
明るくてシャイで、結構ミーハーな方のようです。
しかしながら、作品群の数々から感じる「冷徹な目」は怖いもので、 「本当の悪人がいない」ことの多い、昨今の小説の中で、とても目をひきます。 しかも「本当の悪人」であるという事がどういう事なのか、それをも考えさせてくれ、 その原因をどこに求めるのか、を、私たち読者に投げかけている、いわば「社会派」の 作家なのではないかな、と思います。
あの、エッセイから感じる可愛くてシャイな宮部さんが、そういう事を書ける人だという処に 本当の怖さ、すごさを感じるのです。
また、宮部さんの作品と言えば、やはり「少年」です(笑)
特に初期短編に登場する、ませたしっかり者の「少年」像は、 大人の求める都合の良い「良い子」「しっかりした子」でありながら、それだけに留まって いないところが素晴らしいです(^^)。
少年もの、でいけば、くらげのイチオシは「東京下町殺人暮色」。
最新作は『模倣犯(上・下)』(小学館刊)。(2001/04現在)

【受賞歴】
1987年『我らが隣人の犯罪』でオール読物推理小説新人賞受賞。
1989年『魔術はささやく』で日本推理サスペンス大賞受賞。
1992年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞受賞。『本所深川不思議草紙』で吉川英治文学新人賞受賞。
1993年『火車』で山本周五郎賞受賞。
1996年『蒲生邸事件』で"あの"日本SF大賞。
1998年『理由』で直木賞受賞。
※1:大沢オフィス
宮部さんが所属する事務所。その名の通り、大沢在昌氏の事務所でもある。なんでも大沢さんの奥様が実権を握っていらっしゃるらしい。 ちなみに所属しているのは、大沢在昌、京極夏彦、宮部みゆき、という飛ぶ鳥落とす勢いの三人の作家。 このオフィスの公式ホームページが『大極宮』(http://www.osawa-office.co.jp/)である。

◆とっても遅い宮部さんニュース

――その名の通り(^^;)とっても遅いニュースです。
あんまり遅いので、恥ずかしくてTOPに載せられないくらいです(^^;)
☆01/04/17現在

【連載】
『ゼプツェン』週刊文春 / 温泉町を舞台にしたミステリ
『あかんべえ』歴史街道 / 長篇時代小説
『ブレイブ・ストーリー』地方新聞各社 / ファンタジー(大分合同新聞でもやってます…多分)

【書籍発行】
『模倣犯(上・下)』2001年3月発売。小学館刊。

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◆作品概要紹介

自分が読んだ本についての情報と簡単な内容紹介です。
タイトル、ISBN、値段、本のカヴァーについているあらすじを掲載しています。
ネタバレは無い筈です(^^;)。
■心とろかすような 〜マサの事件簿〜
◆単行本
1997年11月発売
東京創元社
本体1300円(税別)
ISBN:4-488-02354-1
ミステリ
◆文庫
2001年4月発売
創元推理文庫
本体620円(税別)
ISBN:4-488-41102-9
ミステリ
『とうとう、私はあの子の心とろかすような笑顔に負けてしまったのです』
お馴染みの用心犬マサの目を通して描かれる、蓮見探偵事務所にまつわる五つの事件。 さりげなくも心温まるやりとりの中に人生のほろ苦さを滲ませ、読む者をたちどころに宮部ワールドへと誘っていく。 「著者ご挨拶」も収録。
くらげゲージ=★★★★☆     ≫≫感想へ
■幻色江戸ごよみ
◆単行本
◆文庫
1998年9月発売
新潮文庫(文庫化)
本体552円(税別)
ISBN:4-10-136919-4
時代物
江戸の怪異譚と人情ばなしを四季折々にたどる、ミヤベ・ワールド新境地!
盆市で大工が迷子の男の子を拾う。迷子札を頼りに家を訪ねると、父親は火事ですでに亡く、 子は母と共に行方知れずだが、拾った迷子とは違うという……(「まひごのしるべ」)。
不器量で大女のお信が、評判の美男子に見そめられた。その理由とは……(「器量のぞみ」)。
――下町の人情と怪異を四季折々に辿る、切なく、心暖まる、12編。
くらげゲージ=★★★☆     ≫≫感想へ
■理由
1998年6月発売
朝日新聞社刊
本体1800円(税別)
ISBN:4-02-257244-2
社会派ミステリ
『その事件は、住んでいるはずの部屋の持ち主と被害者が別人だった…』
事件後、記者が関係者にインタヴューする、ルポ形式で物語が進んでいく。
長編ミステリ。
くらげゲージ=★★       ≫≫感想へ

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◆感想

古くなってしまったものもありますが、読んだ当時の感想です。
中には、追記として、最近書き加えたものもあります。
こっちも(^^;)まだ作り始めたばかりですが、少しずつ埋まっていく予定です。

■心とろかすような 〜マサの事件簿〜

初読:01/05/27(文庫化時)
 「パーフェクト・ブルー」でお馴染みの蓮見探偵事務所にまつわるお話。やはりマサの語り口調で書かれています。 五つの短編なのだけど、これまた宮部節炸裂といった感じで、堪能できる事間違いなし(笑)宮部さんの優しいところも、冷たいところも、 どっちも味わえて、ああ、だから宮部さんの短編集って良いよなあ…と思える本です。
 今回、途中まで、ちょっと後味が悪かったんです。…というのも「心とろかすような」のみずえちゃん。 …性悪というか、なんというか、子供ならではの嫌らしさを感じたんです。子供って親の鏡だよね。 この子だって、本当は違ったかもしれないのに、親を見てたらこんな風に育つしかないよなあ、と思ってしまって、 やりきれなかった。みずえちゃん、成長したらどういう子に育つんだろう、宮部さんが描く、あの「無責任で嫌な悪い人」になっちゃうんだろうか、 そう思うと、ひどく気分が悪かったのです。 それだけじゃない。…結局、この事件、誰も傷つけないような終わり方をしてるけど、それって非合法だよね。いや、非合法というと聞こえが悪いか(苦笑) なんというか、あの夫婦が「罰せられてない」という感じがして、どうもおさまりが悪かったんですよ。私にはね。
だけどね、これって、もしかしたら、価値観の違いかもしれないと思ったんです。
私にとって「罪を償う」ことは、罪を犯したという事を公的にも認めて、法律で定められた罰則に従う、って事のように思えるんです。 ホントは、それは「本当に」罪を償ってるとは限らない。宮部さんも時々それを描かれますよね。でもね、 やっぱり、公的に認めることって、大前提なんじゃないかと(私は)思うんです。それだけじゃない、 実は蓮見さんちも、それなりに非合法な事もやってるし。
…こんな事で、ちょっと顔を曇らせてしまいたくなるくらい、宮部さんの世界というのは、現実を映し出してるように見えるんですよね。 凄く理想的な人々が、理想的な関係を築いているのに、どこかが歪んでる、綻んでる、欠けている――そういうところが、実はとてもリアルなのだけど、 それが故に、ちょっと嫌な気分になってしまったのです。
とは言え、二作目三作目と続いていくと、その「嫌な部分」と同じだけの「優しい部分」が出てきてくれて、私も救われました。
だけど、嫌な気持ちになったせいか、この五つのお話の中では、私は、やはり表題作の「心とろかすような」が一番好きです。 好き、というのとは違うかな。…心に沁みました、と言うべきかもしれません。

 『てのひらの森の中で』は、ホントに心温まるって感じのお話。…誰も死なないですんだし(^^;)
ただ、その分金額が…でかすぎる(笑)。この当時の宮部さんにとっての五千万円って、どのくらいの感覚だったんだろうか。 ――つーか、いくらバッタ屋だからって、そんな金額を金庫に置いておくとは思えないけどなあ(笑)(だいいち、ディスカウントストア=バッタ屋、っつうのが…(^^;)) あ、考えたらバブル期なんですね、これが書かれたの。…だとすると、なんとなく判る気も致しますです。あの頃は、み〜んなお金でおかしくなってた様な気がするな。

 『白い騎士は歌う』。…ううううっ。こういう話、泣いちゃうよなあ。堪らないなあ。
私の大好きな「東京下町殺人暮色」を思い出しました。薬物、親、サラ金。。。。どの道具も重いものなんだけど、さらっと書かれているのが憎いです。 こういう初期の短編が後々の長編へのステップになっていくんだろうなあと思いました。

 『マサ、留守番する』。…これが一番最近に書かれたせいか、やはり群を抜いて面白く、それでいて、やっぱり宮部さんしてます。 いつもながら、謎解きが終わった後にある独白?(今回はマサの)が堪らないです。悔しくて、哀しくて、情けなくて、醜い。 それでいて、愛おしい。それが人間の「社会」だよなあと、あらためて感じました。 そして大切なこと。私自身も、その世界を作っている者のひとつなんですよね。

 『マサの弁明』。…なんで「マサの」弁明なのか、未だに判らない私(苦笑)。これについては…なんとも言えないですよねえ。 おふざけという感じなんで(^^;)ちょっとホラー入ってるところが笑えます。…宮部さん、本当に足が小さいのかな(笑)。

 宮部さんの物語は、いつも最後に私たち読者に疑問を投げかけてきます。…例えば「火車」のラスト。例えば「レベル7」のクライマックス。 そして今回も。被害者も加害者も、同じ人間であり、苦しみや悲しみを抱えている。それでもその行動の違いから、彼らの運命は決定的に変わってきてしまいます。 だけど、加害者に対しても、宮部さんは決して手を抜きません。同じ様に苦しみ、悲しみ、怒り、喜びを描かれます。 それでいて、彼らの罪をも描いて、私たちに何かを問いかけてくるような気がするのです。
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■理由

宮部さんの6月の新刊。
実は、今までの「宮部節」を期待していると、今ひとつかもしれません。
テーマといい、キャラクターといい、シチュエーションの見事さといい、宮部さんの魅力満載で、 申し分ないのですが(^^;)新聞連載だったせいか、ぶつ切りの感が否めないのが残念。
細々としたディティールが、ジクゾーパズルを埋めるみたいにつながっていって、 やがて全体像が見えてくる…というのは、宮部さんのお得意だと思うのですが、今回はそれが裏目に 出てるんじゃないのかなと感じました。
視点が多すぎて絞り込めず、感情移入しにくいせいかもしれない。
多分、長い時間をかけて読み直してゆけば、また違ったものが得られるのではないのかと思います。

追記:01/04/17
これが結果的に直木を取ってしまいました。今まで何度も直木賞候補になりながら、 逃していた宮部さん…嬉しかっただろうな、とは思うのですが…この作品、くらげの評価は 「イマイチ」なので、なんだか複雑です(苦笑)。
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■幻色江戸ごよみ

(※文庫化の時に初読した感想です。)
待ちに待った文庫化でした。
正直言って宮部さんの「時代物」は、くらげにはピッタリというわけにはいかないのですが、 それは、宮部さんの作品の持つリアルさが、「現代」という時代に大変マッチしているため、 時代物になった時に妙な違和感を感じるんじゃないかと思います。まあ、それはおそらく、 私にとって「時代物」のイメージが、かなり偏っているせいかもしれません。
 さて、この本。
タイトルからも想像できますが、宮部さんお得意の「怪奇もの」的な話も多く、 そういう意味でも大変楽しめた一冊でした。 ただ、それ自体はあくまでオカズであって、本当の面白さは、 「人情」というか、人の心の織りなす模様、或いは人と人が交わる時に生まれてくるもの、 だったと思います。
オカズ(設定)にゴハン(主題)が負けることなく、しっかりと読ませてくれる、 今回は特に、ひとつひとつのお話のテーマが、読み終えた後、しっかりと心に残り、 読み終わった後に、じぃん、ときてしまいました。
…しかしまあ、作品によって出来の良さ、悪さ、好き嫌いがあると思えないこともなく…少々、 消化不良の感もありました。
「第五話・庄助の夜着」は、さらりと流してはあるものの、果たして「怪異」であったのか、 それともそうでなかったのかが今ひとつはっきりしていなくて、納得できない。 もし庄助の病がおゆうの嫁入りのせいだとしても、それで気に病んで行方をくらましてしまう… という展開に、なんとなく引っかかりを覚えてしまいました。あとからじっくり(分析しながら?) 読み返してみると、ちゃんと筋書きはあっているし、おかしくないのですが… さらりと読んだ時って、素直な印象がそのまま後を引くようです。
「第六話・まひごのしるべ」は人間関係の複雑さに降参。わかっていないわけでは無いのですが、 ややこしいなあ、と頭をひねってしまいました。 (宮部さんの作品は時折こう思うことがあるような気がします) 長編だったりすると、頭の中で組み立てていく楽しさも余裕あるのですが、短編だし、 もうすこし判りやすくしてもらいたいような気もします。…まあ、このふたつはある意味で 「アンハッピーエンド」なので、そう感じたのかもしれませんけど(苦笑)
そういえば「第十一話・侘助の花」の おゆきというキャラクターにも欲求不満。 彼女は本当におかしくなりかけていたのか、疑問だったりします。本当は違ったんじゃないかという気がしてならないのです。
 逆に凄く好きだったのは「第十話・神無月」。居酒屋の親父がなんともいい味だしてて素晴らしいです。 複数のプロットが重なり合って収束してゆくのは、宮部さんのお家芸ですが、こんなに単純なお話なのに、 すごく心を打たれました。描写も抜群で、居酒屋の様子や、くらい家の中で、 男のお手玉を縫う様子が、目に浮かぶような気がしました。
「第十二話・紙吹雪」もいい。これはまさしく「アンハッピー」だけど、やるせなく、せつないお話でした。 12の短編の最期を飾るにふさわしい物語だったと思います。
書いているときりがないのですが、相変わらず安定した文章で、読ませていただけました(^^)。
次回の文庫落ちが(笑)楽しみです。

追記:01/04/17
なんとまあ、偉そうなことを書いてるんだ(^^;)私は。恥ずかしい。
…でも、印象そのものはあまり変わりません。
最近、宮部さんの時代劇にも馴れてきました。…しかし、判らないんですよね(^^;)なにがどうして、 いまひとつ、こう、ピッタリ来ないのか…。
そういう意味では、宮部さんのSFも宮部さんの怪奇モノも、ピッタリ来る、と言う作品は少ない。 でも、最初に書いている通り、私はSF現象や怪奇現象が読みたくて、宮部さんを読むわけではなく、 そこにある「人」を味わう事が一番の楽しみなので、それほどは気にならないのですね。
あ、念のために書いておきますが、宮部さんの時代物、怪奇物、SFは、充分に面白いんですよ。 ただ、その視点が、微妙に違うので、「私的に」ピッタリ来ないというだけです。
でも、ホント、最近の宮部時代劇は、どんどん面白くなっていってます(^^;)
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