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『その他の作家』の棚

特定の作家を除いた、単品の所感です。

◆大沢在昌
天使の牙(上・下)
◆酒見賢一
陋巷に在り4
◆田中芳樹
銀河英雄伝説10/落日編
◆宮城谷昌光
太公望(上・中・下)

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天使の牙(上・下)
作:大沢在昌
1998年発売
(文庫落ち)
定価:本体円(税別)
ISBN:4-**-******-*
※カバー裏のあらすじを載せるはずだったんですが、現在本が旅行中なので省略※
くらげゲージ=★★★★☆
「新宿鮫」でお馴染みの、大沢在昌の著作。
  ハードカヴァーで出たとき、「脳移植で生まれ変わった」 というキャッチコピーが付いていたので、SFモドキかと思って読んだらとんでもなかった。ちなみに 良い方にとんでもなかったのである。確かにSFの味付けはあるんだけど、 これはハードボイルドで、警察小説で、恋愛小説なのだ。SFの設定がうっとおしくないのである。 オカズにゴハンが負けていないのだ。オカズがあるからゴハンが美味しい。でも、オカズだけでは 絶対に成り立たない、そういう食事だった。とっても満足(^^)
  今回はキャラクターにやられました(笑)大沢の描くキャラクターはとても好きです。 読む前になんとなく「相続人TOMOKO」のイメージがあったのだけど、あの主人公は絶世の美女で 強くて、孤独であったけど、財力があり知恵があり、ゴージャスな主人公だったんですよね。 (それはそれで好き(^^))けどこっちのアスカは、ゴージャスからはほど遠い。 確かに「アスカ」は美女なんだけど(これ、お約束だもんね)明日香の時は美貌ではなかったし、 反対にアスカになってからは美しさと引き替えに、強い体をなくしてしまう。そして精神的にも「権力」というか…普段気が付かなかった「警察の力」を 失ったことを実感し「怖れ」を感じる。この箇所は、大沢の「警察」への思い入れを感じました。 さらに傷だらけにはなるし、サバイバルにはなるし、 発作を起こして暴れるし。ふんだりけったり(苦笑)おまけに、彼女の命は彼女のものではないのだ。 その上いつまで生きられるか判らない。まあ、辿り着くのは「死」だと覚悟を 決めてるところは一緒だけど。悲惨な主人公だと思う。
…ホント、私は大沢の書く女が好き。綺麗で潔くて強くて、そして孤独で。 定番なのかもしれないけど、だからこそ、それを魅力的に描けるのは実力だと思う(^^) (単に好みなんだと言えばそうなんだけど…(^_^;))
特筆すべきは芦田課長(^^)がりがりに痩せた体が目に浮かぶようで良い。
  大沢の文体は画像が視界に迫って来るような雰囲気があって、とっても好きです。キャラクターの 味付けもしっかりしてるし。悪役、友人、同僚にいたるまで、みんなキャラが生きてるように 感じてしまいます。なんというか――キャラが配置してある、というんではなく、そこに その人がいたから、その役割をやることになった、みたいに――私の読み方が 甘いのかもしれませんが、それぞれのキャラクターに無理を感じないんです。みんな自分を生きてる、 という感じ。これって物語には必要なものだと思うんですよね。
  裏切り者の正体については――上巻の途中まではナゾで、むしろ芦田課長かと思ってたんですが、 物語が方向性を決めて動き出した途端、はっきり読めてしまった(^_^;)謎解きの面白さは 感じなかったですね。ミステリではなく、サスペンス…エンターティメント。 でも、ホントに面白い一冊(上下で2冊)! でありました。
  あと、印象深かった箇所。
"医者というのは科学者だと言うことだ。いくら倫理を叫んでいても、いざそこに実験できるサンプルが あれば、その誘惑には勝てない。秘密が守られるとあればなおさらだ"
とても心に残った一文でした。人ってそういうものなのかもしれません。

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陋巷に在り 4
著者:酒見賢一
1998年発売
新潮文庫(文庫落ち)
定価:本体438円(税別)
ISBN:4-**-******-*
※カバー裏のあらすじを載せるはずだったんですが、現在本が旅行中なので省略※
くらげゲージ=★★★
酒見氏の文庫に出会うと即買っている…そうか。私は彼のファンだったのか(笑)
 いつもながら淡々とした描写…という気がするのですが、ぶつ切りに読んでみると 結構やわらかい文章だったりする。不思議な魅力があります。雑誌連載だというのに、 その巻ごとに必ずと言っていいほどの「ヤマ場」があり、いつもわくわくしながら読んでしまう。
 最初に一巻を手に取ったときは、確か「スーパーサイキック孔子伝」という帯が付いていて、 チャチな中国風SFファンタジーかと思ったのですが、どっこいそうではありませんでした。
まあ、ファンタジー的な要素もふんだんに盛り込まれてはいますが、「孔子」という人物が、 既成の概念が吹っ飛ぶほど面白く描かれていて、お薦めの物語です。 エネルギッシュな「巨人」というイメージかな。主人公は孔子ではありませんけどね。 最近はファンタジー傾向が強くなってきてはいますが、相変わらず政略謀略の渦巻く物語であり、 不思議な恋愛ものでもあり、チラリと見え隠れする程度のエロチシズムもたまりません。 出てくるキャラクターたちも様々で、読んでいて飽きさせません。 ただ漢字が苦手な人は避けてしまいがちかも。まあ、中国ものの宿命ですが。
 前巻で素晴らしい内面を披露してくれた子蓉は今回も健在。 ほんの少しの出番だと言うのに、強烈な印象を残してくれました。 悪役の少正卯は今回株をあげました(笑)いいなあ。次巻が楽しみでなりません。
 そうそう、忘れちゃいけない。酒見氏の本はあとがきが面白いのです。 最近の事柄について、ぼそぼそと(本当にぼそぼそ、という感じ:笑)語っておられるのですが、 内容はと言うと、言いたい放題言ってて、ホントに楽しい。勿論、カチンとくることもありますが、 本人もそれを判って書いているみたいですから。確信犯なんでしょうね。
 願わくば、この物語がきちんと最期まで掲載され、完結しますように。 ダメなら文庫書き下ろしでかまいませんから(笑)。お願いしますよ、新潮社さま。
 あ…今気が付いた。この一巻って中島敦記念賞受賞作品になってる。なんか妙に納得(笑)

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銀河英雄伝説10 / 落日編
著者:田中芳樹
1998年発売
徳間文庫(文庫落ち)
定価:本体600円(税別)
ISBN:4-**-******-*
※カバー裏のあらすじを載せるはずだったんですが、現在本が旅行中なので省略※
くらげゲージ=★★★★
★を4も付けてしまいました(笑)
 実は新書版では7巻までしか読んでいなかったので(ヤン・ウェンリーが死ぬのを見たくなかったからだという…) 8,9,10は初めて読んだのですが、いやあ、参りました、という感じです。 ここまでか、ここまでか、と引っ張っていって、果たしてふたり共(ヤンとラインハルト)死んで話が終わるのかなあと、 ずっと疑問に思っていたのですが、ちゃんと終わっていました。外伝を読まなくても、 きちんとお話が完結しています。凄いです。田中芳樹(笑)
初めて読んだ当時から今まで、これだけの年月が流れても、未だに読ませる、 という、作品の質は、まず間違いなく高いと思います。 くらげは特に田中さんのファンというわけではないのですが(創竜伝とマヴァールと銀英伝と、 あとちょこちょこ)その筆力はすばらしいと思いました。 (敢えてファンにならないのは、人気があるから、というひねくれ根性) 早く外伝も文庫化して欲しいです。
      …というわけで、合掌。
追記:01/04/18
ちゃんと終わっているという事以外、なにも感じなかったのだろーか(^^;)と思える文章ですが、 ★は四つもついてます。最近、ホントに、終わっている話が少なくなってきた様な気がするので、勘弁してくださいね。
 これを書いてから三年近い月日が経っているのに、未だに外伝は文庫化してない模様。 本編は何故か徳間デュアル文庫で再文庫化してます(^^;)。…道原さんの挿し絵が付いてるので、 最近の若者へのアピールという事なんでしょうか(苦笑)。
 作者の田中さんには、今の時点で言いたい事は結構あるんですけど(早く創竜伝を終わらせてほしいとか(^^;) タイタニアを書いて欲しいとか(^^;)銀英伝も外伝はもう書かないのかとか…)少なくとも、昔銀英伝を読んだ時、 そして三年前にこれを読んだ時、私は素直に凄い!と思ったのでした。そして今でも、この作品は胸を張って オススメ出来る物語です(^^)

太公望(上・中・下)
文庫
作:宮城谷昌光
2001年4月発売
(文庫落ち)
定価:本体円(税別)
ISBN:4-**-******-*
その炎の中、羊に導かれて少年は疾っていた。――人を犠牲にする事を厭わない商。父と一族を弑され、 彼は復讐を決意する。いつか、商を倒す。そして少年は成長する。人を知り、人を活かし、大きな目的を持って奔走する彼は、 いつしか大きな人物へと育っていく…。
くらげゲージ=★★★★☆

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